■「完全に予測可能」

 風や波という無限の天然資源に支えられ、人口2万2000人のオークニー諸島では使用量を上回るエネルギーを生産している。

「水素はエネルギーを蓄える方法の一つとして重要です。バッテリーを使ったり、電力供給網にすぐさま頼ったりせずに済みます」とギブソン氏は説明した。

 潮力発電会社ノバ・イノベーション(Nova Innovation)がイエル(Yell)島周辺で行っているオフショア事業の責任者、トム・ウィルス(Tom Wills)氏は「波力エネルギーの利点は完全に予測可能なことです」と言う。

「明日でも、あるいは2000年先でも、この海峡を抜ける潮流の量は分かります。このエネルギー資源は天候に左右されません」

 各国経済が重大な汚染源である炭化水素から手を引く中、こうした予測可能性はエネルギー供給の安定のために不可欠だ。

 ノバ・イノベーションはイエル島の村、カリボー(Cullivoe)に電気自動車(EV)の充電ポイントを設置した。海中タービンで生産した電力を使っている。

 近くに住むフィオナ・ニコルソン(Fiona Nicholson)さんはここを利用する常連だ。「自分の住んでいる所から毎日、海を眺め、音を聞いているので、海の力は分かっています」と言う。その海の力を利用して「長距離通勤用の充電ができるなんて、素晴らしいことです」と語った。