【11月11日 AFP】英国の北の果て、風が吹きすさび、荒波が打ち付けるオークニー(Orkney)諸島やシェトランド(Shetland)諸島は長年、石油と天然ガスに依存して栄えてきた。

 しかし供給量が減少する一方で、気候変動への対応も急がれる中、これらスコットランド北部沿岸の島々は再生可能エネルギーへの切り替えを進めている。

 オークニー沖で潮力発電機の試運転を続けているのは、スタートアップ企業「オービタル・マリン・パワー(Orbital Marine Power)」だ。「O2」と名付けた発電機のプロペラを海中の潮流で回転させ、約2000世帯分の電力を生産する。

「ここは毎時5億トンの海水が通過しています。このタービンを試すのにおあつらえ向きです」と同社オフショア事業の責任者、ダニエル・ワイズ(Daniel Wise)氏はAFPに語った。

「多くの人がオークニーをリビングラボ(生活空間に根差した実験の場)と呼んでいます」と言うのは、欧州海洋エネルギーセンター(EMEC)の技術者ジェリー・ギブソン(Jerry Gibson)氏だ。

 EMECはここで波力・潮力エネルギーの変換器を試験している。「実験場も多く、さまざまな企業が協力している」と言う。「このようなグリーン経済にこそ力を注ぐべきです」

 EMEC自体は、潮力タービンとオークニー諸島のエディ(Eday)島の海水を用いた電気分解で、再生可能なエネルギー源による「グリーン」な水素を生産している。この水素は圧縮され、20キロ南のカークウォール(Kirkwall)港まで運ばれて、埠頭(ふとう)に停泊しているフェリーの動力源となる電気に変換される。