【解説】映画の撮影現場で銃の誤射が起きるのはなぜ?
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■銃を発砲する必要がある場合は?
銃を発砲する際は、安全距離を厳重に保ち、対人距離を前方6メートル以上取る。
「空包でも小さな破片が飛ぶことがあります。銃で人を直接狙わない方が望ましいので、カメラマンと協力して、相手が射線方向にいるように見える構図を考えます」とドルーシュ氏は言う。
「もっと近づいて撮影する必要がある場合は、アクリル樹脂の壁を設置し、スタッフには消火用毛布を掛けます。また、爆音から耳を守るヘルメットと破片から目を保護するゴーグルも用意しています」
■事故はどのように起こり得るのか
今回、西部劇映画『ラスト(Rust、原題)』の撮影現場で何が起きたのかはまだはっきりと分かっていない。
ドルーシュ氏によると、銃を持つ登場人物の多さを考えると、ハリウッド映画でこうした事故が起きるのは極めてまれだという。
何らかの理由で撮影現場で実弾が使用されると、事故は起き得る。
「しかし、撮影現場に実弾が持ち込まれることは絶対にありません」とドルーシュ氏は断言する。ダミーの弾も使用されるので、混同される恐れがあるからだ。
可能性としては、ダミーの弾の薬きょう(弾丸の発射薬を詰める円筒形の容器)が外れ、弾頭部分のみが薬室に入ってしまうことだ。
ダミーの弾頭の後ろに空包を込めて発射すると、実質「実弾」になってしまうとドルーシュ氏は説明した。
1993年に俳優のブランドン・リー(Brandon Lee)さんが映画『クロウ/飛翔伝説(The Crow)』の撮影現場で命を落としたのも、これが原因だという。「小道具の製作者によるチェックが行われていませんでした。あの事故は防げたはずなのに」
「事故が起こる時は、その前に必ずミスの連鎖があります」とドルーシュ氏は指摘した。(c)AFP/ Laurent BANGUET