【10月22日 Xinhua News】中国陝西省(Shaanxi)西安市(Xi'an)の秦始皇帝陵博物院は22日までに、秦始皇帝陵兵馬俑が2千年以上前に複数の工房による独立生産方式を採用し、職人らの彫刻、製陶、彩色などの技術を結集させ、原材料を集中供給する形で制作されていたとの研究結果を発表した。

 同博物院と英ロンドン大学の専門家チームは、兵馬俑や陶磚(とうせん、陶製れんが)、土を突き固めて基礎などを造る「版築(はんちく)」に使われた土と、青銅製水鳥の鋳型(中子)などのかけらを収集。原材料の産地と製法を調べたところ、秦代の俑や関連する陶土製品の原材料は同一の供給元から調達されていた可能性があり、異なる職人チームが独立工房式の生産単位を形成し、陶俑や陶磚、陶範(とうはん、青銅器製造に使う陶製の鋳型)など特定の陶土製品の生産を担っていたとみられることが分かった。

 また、研究者が遺物に使われている陶土の成分を分析した結果、小規模な独立工房が陶俑制作の全工程を担っていたことが判明。一つの工房で作られる陶俑の陶土成分は基本的に同じで、別の工房では明らかに異なっていた。「宮」「咸陽」の2種類の字句が記された別々の工房の陶俑を比較すると、原材料に同じ陶土を使用しながら、工房によって産地の異なる補助材料を加えているため、微量元素の割合に差異が生じていた。

 これまでに洗浄、修復された兵馬俑は数百点に「宮」、数十点に「咸陽」と記されている。「宮」は制作した職人が官営の窯元にいたことを示し、「咸陽」は秦代の咸陽地域から来たことを示している。(c)Xinhua News/AFPBB News