■「私の夢が途切れたところから先へ」

 今はストリートチルドレンのために時間と労力をつぎ込む一方で、プロボクサーを目指す6人の若者も指導している。

 トレーニングの前に「家まで車で迎えに来てくれる時もある」と、その熱意を歓迎している。

 すでに成果は表れている。ムサ・サハビ(Moussa Sahabi)選手(22)は、アフリカのボクシング興行団体「ヘリテージ・ボクシング・エンターテインメント(Heritage Boxing Entertainment)」が認定する2階級で西アフリカのタイトル三つを制覇した。

「以前はボクシングに魅力を感じることはなかったけれど、アジズのおかげで目覚めた」とサハビ選手は言う。「僕がタイトルに初挑戦したときは、自分の車を担保に借金して試合に出させてくれた」

 サハビ選手は、東京五輪への出場を希望していたが、新型コロナウイルスの感染拡大による移動制限のため、予選に出られなかった。

「サハビなら、私の夢が途切れたところから、さらに先まで進めるだろう」とアジズ氏は語った。(c)AFP