■禁断症状の緩和剤はなし

 病床数1000床の薬物治療病院に収容された患者らは、大部屋の折り畳み式ベッドに寝そべったり、秋の日を浴びながら庭にうずくまったりして過ごしていた。

 医師らによると、アヘンやヘロインからの離脱を助けるメタドンはほとんど入手できず、メタンフェタミンの禁断症状を緩和するものも皆無だ。

 依存症者はここに到着するとまず身体検査を受ける。靴や衣服に薬物を隠していないかどうかも調べられる。次にシャワーを浴びると、シラミ予防のために毛髪をそられる。

 やせ細り、落ち着かない様子のアフマド・ビラル(Ahmad Bilal)さん(22)も、メタンフェタミンの依存症者だ。「1年か、1年半前にも」リハビリをしたことがあるという。

「ここに来られてうれしい」と言いながら、アフマドさんは部屋の中を見渡した。盗み見するようなおびえた視線は、それが本心ではないことを表していた。「45日たてば、神のおぼしめしで家に帰れます」

 1990年代の旧タリバン政権時代、アヘンやヘロインの原料となるケシの栽培は禁止された。だがその後、欧米諸国の支援を受けた政権下で反政府活動に転じたタリバンの支配地域では、ヘロイン輸出が多額の資金源となった。

 ケシ栽培は安価で容易だ。アフガニスタンは世界のヘロイン生産の約90%を占めている。また麻薬対策の専門家によると、アフガン人口3400万人のうち薬物使用者は11%、薬物依存症者は4~6%に上っている。 (c)AFP/Michel MOUTOT / James EDGAR