【10月20日 AFP】第2次世界大戦(World War II)中にナチス・ドイツ(Nazi)の強制収容所で秘書を務め、ドイツでの裁判を控えた9月末に逃走を図ったイルムガルド・フルヒナー(Irmgard Furchner)被告(96)が19日、初公判に臨んだが、ほぼ黙秘を貫いた。

 ナチス時代の犯罪で女性が起訴されるのはまれ。被告はナチス占領下のポーランドにあったシュトゥットホーフ(Stutthof)強制収容所の秘書として、1万1000人以上の殺害および殺害未遂をほう助した罪に問われている。

 被告は人定質問で本人であることは認めたが、それ以外は黙秘を貫いた。

 検察側は、ガス室に送られた犠牲者が叫ぶ声や錠をかけたドアにぶつかる音は、収容所にいた全員に「はっきりと聞こえるものだった」と述べた。

 弁護側は、被告は「恐ろしい殺人」があったことは否定していないが、自らの刑事責任については争うと述べた。

 裁判は9月30日に開始される予定だったが、被告が出廷しなかったため延期されていた。

 被告は同日の朝、居住する高齢者施設を出てタクシーで地下鉄駅に向かったものの出廷せず、裁判所が逮捕状を発付。数時間後にハンブルク(Hamburg)で警察に拘束され、5日間勾留された。その後は所在を把握するために電子タグが装着されているという。(c)AFP/Sebastian BRONST