【10月20日 AFP】ロシアの首都モスクワのセルゲイ・ソビャニン(Sergei Sobyanin)市長は19日、同市では夏以来となる新型コロナウイルス関連規制措置の導入を命じた。ロシアの新型ウイルスによる1日の死者数は同日、過去最多の1015人を記録した。

 ロシア政府は現在、感染拡大の波を抑える措置として、国民に1週間の休業を命じ、人との接触を減らすことを検討している。ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は20日、政府が全国規模でとるべき感染拡大防止策について決定する予定だ。

 だがソビャニン市長はそれを待たずに、モスクワ市内での規制措置を発表。ワクチン未接種の60歳以上の市民に対して在宅勤務を命じたほか、ワクチン接種義務化の対象をサービス業従事者にまで拡大した。これらの規制は週明けの25日に発効し、来年2月末まで継続する。企業・組織はさらに、従業員の30%を在宅勤務に移行させるよう指示された。

 政府発表では、ロシアでの新型ウイルスによる死者数は欧州最多の22万5325人とされている。だが同国の連邦統計局(Rosstat)が今月公表した統計では、実際の死者数が40万人を超えていることが示されている。

 同国のワクチン接種率は35%にとどまっており、当局は国民のワクチンに対する不信感の払拭(ふっしょく)に苦慮している。プーチン氏は国民に接種を呼び掛けているが、独立系の世論調査では、国民の過半数が接種を希望していないと回答した。

 公共の場に入る際にQRコードの提示を求める制度が再導入された地域もあるが、国内では概して厳しい規制措置は取られておらず、感染者数は急増。ロシア政府に対しては、流行の深刻さを軽視していると非難する声も上がっている。(c)AFP