■取り組みの遅れ

 復元の取り組みは、すでに成果を表し始めている。デービス氏はプロペラ船を下り、澄んだ水の中に両手を入れて底から黒い塊をすくい上げた。

 藻類、バクテリア、微生物が交じったもので、その存在は健全な水質であることを示している。

 ある程度の進展はあったが、2000年に策定された当初計画の主要プロジェクト68件のうち、これまでに完遂されたプロジェクトはわずか1件だ。

 遅れの主要な原因は、連邦政府からの資金不足だ。財団によると、プロジェクトにはこれまで、40億~50億ドル(約4600億~5700億円)が投入されたが、7割はフロリダ州からの支出で、連邦政府からの拠出は3割にとどまっている。

 気候変動に起因する緊急事態が、取り組みの追い風になる可能性はある。

 ジョー・バイデン(Joe Biden)米大統領は、エバーグレーズの復元活動のために2022年度予算に、前年比1億ドル(約110億円)増の3億5000万ドル(約400億円)を計上した。

 フロリダ州のロン・デサンティス(Ron DeSantis)知事はパームビーチ(Palm Beach)西郊に貯水池を建設する委託契約を米陸軍工兵隊(US Army Corps of Engineers)と4月に結んだ。総工費は34億ドル(約3900億円)だ。

 映像は9月30日撮影。(c)AFP/Gerard MARTINEZ