■水を元に戻す取り組み

 数千年の間、雨期にはエバーグレーズ地域の北部に雨水が蓄積した。水はこの地域の緩やかな斜面に沿って非常にゆっくりと動き、地形をつくってきた。

 だが、過去1世紀の間に、フロリダ南部の都市化と農業拡大のために、自然の水流が変えられた。150万エーカー(約6070平方キロ)の湿地帯の生態系が変化し、気候変動が進む中、一帯はダメージを受けた。

 米議会は2000年、この地域を保護するプロジェクトを承認した。費用はフロリダ州と連邦政府の折半だ。同地域は1976年に、国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)が生物圏保存地域「エコパーク(Biosphere Reserves)」に指定している。

 デービス氏によると、プロジェクトの目標は「貯水して浄水処理を行い、その水を最も自然な形で国立公園に戻すこと」だった。

 この目標達成のために、用水路や堤防、ダム、ポンプなどからなるシステムが考案された。また、水をろ過し、湿地帯に悪影響を与える栄養素を除去する人工湿地帯が設計された。同時に、水の流れをせき止めていた道路部分を高架にした。