【10月20日 AFP】米ニューヨークで先月5日から、一つの区画を5649周、計3100マイル(4989キロ)走るマラソン大会が開催されている。今月17日夜には、イタリア出身のアンドレア・マルカート(Andrea Marcato)さん(39)がゴールし優勝を果たした。

 世界最長マラソン大会「シュリチンモイ・セルフトランセンデンス3100マイルレース(Sri Chinmoy Self-Transcendence 3100 Mile Race)」の開催は26日まで。主催者によると、今年で25回目となる大会でこれまでに完走できたのはわずか49人だ。

 今年は日本、台湾、ロシア、ウクライナ、スロバキアなどからも参加している。

 参加者は52日以内に4989キロを走らなければならない。時間は午前6時から深夜まで。毎日睡眠時間5時間以下で、マラソン2回分以上の距離に相当する96キロを走ることになる。

 コースはクイーンズ(Queens)区ジャマイカ(Jamaica)の高校を回るコンクリート舗装された歩道で、1周883メートル。景色の移り変わりによってモチベーションを保つことはできない。少しだけ気分を変えるため、日替わりで時計回りと反時計回りになる。

 優勝したマルカートさんはAFPに対し、「特に最初の1週間は精神的にとてもつらかった。でも、じきに慣れた。毎日は同じことの繰り返しだということを受け入れなければいけない」と語った。

 レースは1997年、インド人のスピリチュアル指導者シュリ・チンモイ(Sri Chinmoy)師により始められた。

 同師は精神的な力を使って、自分が思っている以上のことを達成する「自己超越(セルフトランセンデンス)」を提唱した。2007年に亡くなるまで、ニューヨークに住んでいた。

 マルカートさんは「精神を集中させることができれば、雑念や恐怖、不安、疑念にとらわれることはない」と語った。

 だが、いつも通りの生活が続いている歩道を走りながらの思索は簡単ではない。

 昨年の大会は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)のため、オーストリアで行われた。

 マルカートさんは、1日平均116キロを走り、43日足らずで完走した。16足の靴を履きつぶした。優勝者にトロフィーは授与されるが賞金はない。

 植物性食品メーカーに勤めるマルカートさんにとって、ウルトラマラソンが生きがいになっている。「このレースは究極だ。(レース参加の)夢がかなってここにいる」 (c)AFP/Peter HUTCHISON