【10月19日 Xinhua News】瀬戸孝俊氏は2018年9月、蘭州大学の学生を教育し、より良質な発光材料を開発する夢を抱きながら、東京から中国西部の甘粛省(Gansu)に渡り、総合大学であり重点大学である蘭州大学物理科学・技術学院の教授職に就いた。

 瀬戸氏は今年63歳。これまで三菱化学など日本の有名企業で研究者として、LED照明やディスプレイ用発光材料などの新しい固体発光材料を発明し、世界のLED産業の発展に貢献してきた。

 瀬戸氏の友人、同学院の王育華(Wang Yuhua)教授が瀬戸氏に定年退職後中国で仕事をすることを勧めたところ、同氏は快く快諾した。2018年9月、瀬戸氏はハイエンド外国人専門家として同大学に招聘され、現在は蘭州大学の大学院生の育成に力を注ぎながら、材料開発に励んでいる。

 瀬戸氏と王教授は、同省の省都蘭州市(Lanzhou)から100キロほど離れた場所に小さな実験所を見つけ、発光材料の製造工程の調整を行っている。発光材料の一部を使って植物育成ライトを製作し、トマトなどの作物の光合成を促すことで、その成長速度を向上させてきた。

 王教授は、瀬戸氏は学生の育成と科学研究に全精力と時間を費やしていると感じている。両氏が中心となって進めてきた研究がこのほど、3年の歳月を経てついに「花開いた」。開発した新型発光材料を使うことで、トマトの生産量を30%高めることができたという。両氏は現在、この成果をできるだけ早く産業化に結び付けるため、積極的に取り組んでいる。

 瀬戸氏は「協力・ウィンウィン」が自分の最大の願いだと述べ、「今後日中両国の研究者がさらに協力し、良質で実用的な発光材料を開発できるよう望んでいる」と期待感を示した。(c)Xinhua News/AFPBB News