【10月19日 AFP】米国のアントニー・ブリンケン(Antony Blinken)国務長官は18日、アフガニスタンのイスラム主義組織「タリバン(Taliban)」との交渉を担当してきたザルメイ・ハリルザド(Zalmay Khalilzad)・アフガン和平担当特別代表(70)が辞任すると発表した。ハリルザド氏はアフガン戦争終結に尽力してきたが、タリバンによる政権掌握を阻止できなかった。

 後任にはトーマス・ウェスト(Thomas West)副特別代表が就任する。

 ハリルザド氏はブリンケン氏に宛てた辞表で、「アフガン政府とタリバンの間で政治的な合意を得ることは想定通り進まなかった」と弁明し「理由は非常に複雑で、今後数日から数週間のうちに見解を共有したい」とした上で、「対アフガン政策の新局面」で後進に道を譲りたいとした。

 アフガン出身のハリルザド氏は、学者から米外交官に転身。ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)政権時代に幹部となり、アフガン、イラク、国連(UN)の大使を歴任。その後、ドナルド・トランプ(Donald Trump)、ジョー・バイデン(Joe Biden)両政権でタリバンとのアフガン政府抜きでの交渉を主導した。

 米国とタリバンは2020年2月、米軍が2021年にアフガンから撤退することで合意した。しかし、アフガン政府とタリバンの和平交渉は進まず、米国が20年にわたり支援してきたアフガン政府は米軍撤退の数日後に崩壊した。(c)AFP/Shaun TANDON