【10月18日 AFP】(更新)黒人として初めて米国務長官を務めたコリン・パウエル(Colin Powell)氏が18日、新型コロナウイルスによる合併症で死去した。84歳。家族が明らかにした。

 家族によれば、パウエル氏は新型コロナウイルスワクチンを接種済みだった。ワクチン接種後の感染を指す「ブレイクスルー感染」により亡くなった米国人の中でも特に知名度が高い人物となった。

 家族は「非凡で愛に満ちた夫、父、祖父で、偉大なる米国人であった人を失った」とソーシャルメディアに投稿。パウエル氏を国務長官に指名したジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)元大統領は、「彼は国内外で大きな尊敬を集めていた。そして何よりも、コリンは家庭を大事にする人物であり、友人だった」と追悼した。

 パウエル氏は米軍制服組トップの統合参謀本部議長として1991年の湾岸戦争(Gulf War)で米国を勝利に導いたことで、非常に大きな人気と尊敬を集め、米国初の黒人大統領となり得る人物として有力視された。最終的に大統領選に出馬はしなかったが、所属する共和党に反旗を翻して民主党の大統領候補だったバラク・オバマ(Barack Obama)氏を支持した。

 ブッシュ氏は2000年、パウエル氏を国務長官に指名した際、同氏を「米国の英雄、米国の模範、そして米国の偉大な物語」と称賛。国務長官への就任により、パウエル氏は黒人としては当時の米国史上最高位となる大統領職継承順位4位の地位に立った。

 だが2003年には、イラク戦争の開戦を正当化したことで、その名誉は傷つけられた。パウエル氏は同年2月、国連安全保障理事会(UN Security Council)での演説で、イラクに大量破壊兵器があると主張。しかし後に、大量破壊兵器は存在しなかったことが明らかになった。(c)AFP