【10月20日 CNS】一人暮らしの消費者をターゲットにした「お一人様経済」や、何でもインターネットで品物を買いそろえる「ナマケモノ経済」がトレンドとなっている中国。最近は、加熱パックを使い、調理の必要がない「自熱式」のインスタント米や火鍋が人気となっている。新型コロナウイルスの影響もあり急速に広がり、自熱式食品の市場は800億元(約1兆4198億円)に達する可能性がある。

 国慶節(建国記念日)の10月1日から7日までの大型連休中、北京市の余(Yu)さん一家は中国東部の杭州市(Hangzhou)までドライブに出かけた。途中の食事には自熱式のご飯や鍋を用意した。「カップラーメンと比べて健康的で、子どももお年寄りも食べやすい。味もまあまあ。私は鍋が大好きで、十分に満足できました」と余さんは話す。

 余さんのような消費者は多く、大型スーパーの大潤発(RT-Mart)によると国慶節の連休中、自熱式インスタント食品の売り上げは連休前より約42%増加した。

 自熱式食品はカップラーメンよりは少し割高だ。400グラムの自熱鍋の価格帯は15〜35元(約266~621円)で、250グラムの自熱米は10〜25元(約177~443円)ほど。100~150グラムカップラーメンは5元(約88円)前後だ。ただ、カップラーメンも高価格帯は7元(約124円)を超え、25元(約443円)の品もある。

 市場調査・コンサルティング会社ミンテル(Mintel)が2020年6月に発表した「中国インスタント食品産業リポート」によると、2019年の自熱式食品の売上高は71億元(約1260億円)に達し、市場シェアは 2018年の4.4%から2019年の7.6%に上昇している。

 オンラインモールの淘宝(タオバオ、Taobao)によると、新型コロナウイルス感染症が急拡大した2020年1月20日から2月2日にかけ、インスタント食品の売り上げは10倍以上に増え、自熱式鍋は人気の高いタニシ麺に次ぐ2位となった。

 ただ、2020年前半にコロナ禍がおおむね収束して以降、市場は伸び悩みの動きも見せている。自熱式食品向けの加熱パックを製造する企業は中国メディアに対し「2020年後半から注文が大幅に減少した」と打ち明ける。ある自熱式食品ブランドの担当者も「今年に入り、売り上げのペースは2020年に比べて減少している」と話している。(c)CNS-中新経緯/JCM/AFPBB News