【10月19日 People’s Daily】「『中国の楓の都』に来てよかった!」。遼寧省(Liaoning)本渓市(Benxi)の景勝地、桓仁満族自治県(Huanren Manchu autonomous county)の「楓林谷」を訪れた同省瀋陽市(Shenyang)の都娟(Du Juan)さんはこのような感想を漏らした。

 生態保護の理念を重視し、観光客の誘致に力を入れた本渓市は、地元名物である「美しい楓」を最大の売りにしている。本渓市は、かつて東北地方の旧工業基地に属し、重度の汚染都市として知られていたが、長年努力の結果、都市環境を大きく改良した。ここ数年、生態保護と文化観光の発展を両立させるために努力を続けている。

 同市は森林の自然観光ツアーを2010年ごろからはじめ、3年後の2013年9月に「楓林谷」をオープンした。その年の年末までの4か月間の収入だけで、伐採などで得られた前年の年間収入を超えたといい、現在では年間収入が2000万元(約3億4000万円)を超えているという。

「楓林谷」の変化は、本渓市エコ開発の縮図だ。本渓市は「国家森林都市」と呼ばれており、2020年の森林面積が町全体の76.31%となった。近年、市は「生態都市」「緑の鉱山建設」「楓の木の保護」などの条例を次々と制定し、一連の措置で生態環境を改善し続けてきた。

 王広超(Wang Guangchao)さんが「楓林谷」と「虎谷峡」の二つの景勝地の近くで民宿を経営している。「観光客が増えたので、近くの住民のほとんどは家を民宿に改造して、経営している」と言って笑った。早朝、王さんはパソコンの前に座り、予約の確認をしていた。「今日のランチは10テーブル分の料理を用意しなければならない、30人以上がここに宿泊する予定だ」と話した。

 本渓満洲族自治県(Benxi Manchu Autonomous County)小市鎮(Xiaoshi)同江峪村では、住民が経営する民宿がとても繁盛している。満州族の特徴を生かしたレジャー観光リゾートが作られていたからだ。「われわれの生活はもともと農業が中心で、時間にゆとりがあるときはアルバイトをして、年間の収入は数千元程度だった」と同江峪村の共産党支部書記の柏井華(Bo Jinghua)氏が説明したうえで「しかし、現在は観光業が発展したため、多くの人の月給は約3500元(約6万円)に達した。隣の村の人々にも働く機会を提供している」と話した。

 本渓満洲族自治県小市鎮の共産党書記の高志発(Gao Zhifa)氏によると、地元政府は民宿の経営者たちと提携し、提供するサービスの基準を設け、それを向上させるように呼びかけている。同時に、602万元(約1億円)を投じて、22軒の民宿を含む45店舗の企画・デザイン・改良を行い、特徴ある満洲族の村をより魅力的なものにした。

 本渓市共産党書記の呉瀾(Wu Lan)氏は、本渓市は今後も、「緑水・青山こそ金山・銀山(宝の山)」という理念を堅持し、自然資源を良いプロジェクトに変え、観光産業に力を入れ、ブランドの育成を加速させていきたい」と話した。(c)People’s Daily/AFPBB News