【10月18日 AFP】コロンビアの「麻薬王」パブロ・エスコバル(Pablo Escobar)の所有地に残されていたカバが繁殖の結果80頭に達し「制御不能」となったため、一部に避妊処置が施された。当局が15日、明らかにした。

 エスコバルは1993年、警察に射殺された。農場でカバの他、フラミンゴ、キリン、シマウマ、カンガルーなど多数の珍しい動物を飼っていたが、エスコバルの死後、カバ以外は動物園に売却された。

 カバは移動させるには大きすぎたことから、「アシエンダ・ナポレス(Hacienda Napoles)」と呼ばれる地所に残された。当初飼われていたのは雄と雌1頭ずつだったが、繁殖し増えていった。

 アシエンダ・ナポレスは現在、テーマパークになっている。

 コロンビア北西部の環境保護団体コルナレ(Cornare)によると、今回24頭に「ゴナコン(GonaCon)」と呼ばれる薬が投与された。雄と雌いずれにも避妊効果があり、手術より安価だという。これに先立ち、別の11頭にも通常の避妊処置が施されている。

 専門家はエスコバルが残したカバはアフリカ大陸以外で生息する群れとしては最大で、多くの問題を引き起こしているとしている。

 コルナレの専門家ダビド・エチェベリ(David Echeverri)氏は、ある動物種が本来属していた生態系とは別の生態系に移された場合、そこにいた在来種を駆逐するといった影響をもたらすことになると指摘した。

 エスコバルが残したカバは「生態系の変化」の原因となっている他、地元の漁師を襲うこともある。

 米経済誌フォーブス(Forbes)によると、エスコバルは麻薬取引で巨額の富を成し、世界的な富豪の一人となった。(c)AFP