【10月17日 AFP】英ロンドン郊外の大手衣料品店前で先月、約20人が路上に椅子を並べ、縫いものをした。流行の服を大量生産して短いサイクルで販売する「ファストファッション」に反対して、古いものでも生き返らせられることを実演する取り組みだ。

 椅子の背には「stitch it don't ditch it(捨てないで縫おう)」とのスローガンが掲げられ、その多くがカラフルな糸で縫い取られている。安価なファストファッションの誘惑に負けることなく、服を捨てずに直して着ようというメッセージだ。

 イベントが行われたのは、ロンドン南部のブロムリー(Bromley)にあるファッションチェーン「プライマーク(Primark)」の店舗前。環境に及ぼす影響をめぐり批判が高まっているファストファッションを象徴するブランドの一つだ。

 主催者のスージー・ウォーレン(Suzi Warren)さんは、安くてすぐに捨ててしまう服を買い続けるのとは別の選択肢があると多くの人に知ってもらいたいと考えている。

「買うなと言うのではありません。買うのなら、できるだけ長く着るという決意をしてほしいのです」と、ウォーレンさんはAFPに語った。

「今のペースで衣服の生産を続けることはできません」

 ウォーレンさんは、ユーモラスなデザインの衣服を販売するオンラインストアを営んでいる。ファストファッションがもたらす悪影響について知り、路上で縫いものをする活動を今年立ち上げた。自身のインスタグラム(Instagram)には、固定ファンもいる。

 この日、縫いものをしていたメンバーは、足を止めて質問をしてくる通りすがりの人に、服の補修は喜びでもあるとアピールしたいと考えていた。

「服を直すことはとても瞑想(めいそう)的で、心の健康に良いことです」とウォーレンさんは言う。

「簡単で、安価。必要なのは針と糸だけです」

 イベントは、ロンドン・ファッションウィーク(London Fashion Week)の前に開催された英国のサステナブル・ファッションウィーク(Sustainable Fashion Week)に合わせて行われた。世界各地の都市でも、同じ取り組みが同日実施された。

 映像は9月15日撮影。(c)AFP/Julie EZVAN