【10月16日 AFP】米財務省は15日、金融犯罪に関する報告書を発表し、米当局に報告されたランサムウエア(身代金要求型ウイルス)関連の支払いが2021年上半期だけで5億9000万ドル(約670億円)に上ったことを明らかにした。年間としては過去10年の被害総額を上回るペースだという。

 報告書によると、上半期の被害額は金融機関が公表した2020年の被害総額の42%増。また、実際の被害額は数十億ドルに上る可能性が高いという。

 財務省傘下の機関「金融犯罪取り締まりネットワーク(FinCEN)」は、現在の傾向が続けば2021年全体では過去10年の被害総額を上回るとしている。

 ランサムウエアを使ったサイバー攻撃は、企業や組織のネットワークに侵入してデータを暗号化し、一般的には暗号を解除するデジタルキーと引き換えに暗号資産(仮想通貨)で身代金を払うよう要求する。

 米政府は、急増するサイバー攻撃の取り締まりを強化しており、暗号資産から現金への不正な交換が行われたとみられるオンライン取引所に初めて制裁を科すなどの措置を取っている。

 最近では米国最大の石油パイプラインや世界的な食肉加工大手、電子メールサーバー「マイクロソフトエクスチェンジサーバー(Microsoft Exchange Server)」がサイバー攻撃を受けており、巨額の身代金を要求するハッカーに対する米国のインフラの脆弱(ぜいじゃく)性が指摘されている。(c)AFP/Joshua MELVIN