【10月16日 AFP】ブラジルのジャイル・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)大統領が女性に生理用品を無償提供する法案に拒否権を行使し、女性蔑視と非難されている。

 ブラジルでは何百万人もの貧困層の女性が生理用品を十分に入手できておらず、中には全く入手できない女性もいる。法案は、貧困地域の生徒・学生や受刑者を中心に女性500万人の支援を目的としている。

 ソーシャルメディアではこの1週間で「#LivreParaMenstruar(生理のための自由)」というハッシュタグが拡散。複数の著名人もボルソナロ氏が今月7日に拒否権を行使したことを批判している。

 法案を提出した左派のマリリア・アラエス(Marilia Arraes)議員は、「ボルソナロ氏は今回の拒否権行使で、自身のミソジニー(女性に対する嫌悪や蔑視)をさらけ出した」と述べ、「私たちは黙ってはいられない。大勢の女性の尊厳の問題だ」と続けた。アラエス氏は、議会が拒否権を覆すことを期待している。

 ボルソナロ氏は14日夜、毎週行っているフェイスブック(Facebook)上の演説で、法案が財源に言及していない点を指摘。拒否権を覆して再可決されれば医療か教育予算から資金を捻出しなければならなくなるとして、「(生理用品無償化のために)増税も新税創設もしたくない」と述べた。

 国連(UN)が2010年に創設したNGO「ガール・アップ(Girl Up)」によると、10代の少女の4分の1が「尊厳を持って生理を迎えることができない」ために、月に数日学校を休まなくてはならない。

 国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)の報告書によれば、ブラジルでは71万3000人の少女が自宅にトイレやシャワーがなく、25万人以上が「学校で必要な衛生環境」を得られていない。(c)AFP