【10月16日 AFP】米国のジョー・バイデン(Joe Biden)政権は15日、人工妊娠中絶をほぼ全面的に禁止したテキサス州の新法について、連邦最高裁判所に施行差し止めを申し立てると表明した。中絶の権利をめぐり全米で続く論争は、新たな段階に入る。

 テキサス州の新法は、子宮内で胎児の心拍が検出された時点で中絶を禁止するという極めて厳格な内容。バイデン政権は、国民が持つ憲法上の権利を守るため、同法と闘うと宣言してきた。

 最高裁は先月、5対4で同法の差し止め請求を退けたが、その理由は手続き上の問題とされ、中絶提供者側の主張については判断を下していなかった。法廷闘争が最高裁に持ち込まれることで、1973年に最高裁が女性の中絶の権利を認めた「ロー対ウェイド(Roe v. Wade)判決」が覆される可能性がある。

 司法省の申し立てを受けた連邦地方裁判所のロバート・ピットマン(Robert Pitman)判事は先週、テキサス州の新法は「はなはだしい憲法違反」であり、ロー対ウェイド判決に反するものであるとして、施行を一時的に差し止めていた。

 だがその数日後には、第5巡回連邦控訴裁判所がこの差し止め命令を無効と判断し、同法の施行は事実上再開された。同裁判所は14日、訴訟が進行している間は同法が効力を持つとの判断を示している。(c)AFP