■足を奪われた教師たち

 多くの教師は、漁船や観光船に無料で乗せてもらって職場に通っていた。だが燃料不足でそれもできなくなった。教師たちは月5ドル(約560円)にも満たない給料でやり繰りしていた。そして最後まで残った教師もついに船の燃料問題で通えなくなった。

 アンドレアさん(12)は、三日月形の島にある学校に通っていた頃を覚えている。島はマングローブに覆われ、ジャガーネコなど野生の動物の鳴き声が絶えなかった。

 クラスメートと遊べないのが、今一番つらい。ロープと木の板で作ったブランコを果樹からつるして遊んだという。「読み方は覚えませんでした」

 漁師のビジャスミルさんの娘マリアさん(21)は、学校時代を懐かしそうに思い出す。「先生からたくさんのことを習いました。書き方も読み方も」。そして「(3歳の)娘にも勉強させたいです。勉強がしたくても、学校がないためにできない子どもがここにはたくさんいます」。