【10月15日 AFP】コスタリカで発見された顎骨(がくこつ)の化石により、家畜化された犬が1万2000年前の中米に存在していたことが証明されるかもしれない──。中南米の科学者が研究を進めている。

 化石が犬のものと確認されれば、当時のコスタリカでは、犬とその飼い主が古代の巨大動物と共に生きていたということになる。

 化石は、コスタリカ北東部のナカオメ(Nacaome)で1978年に見つかった、後期更新世(Late Pleistocene)時代の骨の堆積から出土した。1990年代に行われた発掘作業では、体の大きなウマ属の動物種やグリプトドン(glyptodon)、マストドン(mastodon)の化石が出土し、その中に今回の研究対象となった顎骨もあった。発見当初、顎骨はコヨーテのものと考えられた。

 しかし、コスタリカの研究者ギジェルモ・バルガス(Guillermo Vargas)氏は、顎骨を更新世のコヨーテのものとした当初の分類に疑問を抱いた。

「その骨を調べると、犬に見られるような特徴があることに気が付いた」とバルガス氏は述べる。「さらに調査を続け、骨をスキャンした。その結果、1万2000年前にコスタリカで人間と暮らしていた1匹の犬であることが示された」

 犬の存在は、同じ場所に人間が定住していたことの証しとなる。

 バルガス氏は、「標本がコヨーテと分類されたのはおかしいと思っていた。コスタリカにコヨーテが入ってきたのは20世紀になってからだ」と語った。

 コヨーテは家畜化した犬と同じイヌ属だが、異なる顎を持ち、歯はよりとがっている。

「犬は人の残した食べ物を食べる。その歯は生き延びるために決定的に重要ではない」とバルガス氏は説明する。「犬は人と連れだって大きな獲物を追う。標本にもこの違いは現れている」