【10月18日 AFP】アフガニスタンでは名産のザクロが旬を迎えている。しかし、今年は隣国パキスタンがたびたび国境を封鎖。そのあおりで数千トンがトラックの荷台に積まれたまま腐ってしまう恐れが出ている。産地では大勢が働き口を失った。

 健康食品としても知られるザクロは、アフガン南部の主要作物の一つ。イスラム主義組織「タリバン(Taliban)」が実権を掌握して以来、国内では混乱が続いているが、ザクロは変わらず熟している。

 南部カンダハル(Kandahar)の青果物組合の代表を務めるハジ・ナニ・アガ(Haji Nani Agha)氏は、「流通がまひし、ザクロは腐り始めた。当地で解雇された農業従事者は1万5000人に上っている」と、AFPに語った。

 大きくなったザクロは木箱などに詰められてトラックに積まれ、パキスタンとの国境の地スピンボルダク(Spin Boldak)に運ばれる。だが、輸送はここでいったん止まる。

 パキスタンはアフガンとの貿易促進のため輸入果物の売上税を廃止する一方、不法入国を警戒し、アフガン人の入国管理を強化している。

 これを受けてパキスタンとタリバンとの間で主導権争いが起き、頻繁に国境を封鎖し合う事態となっている。輸出業者は荷を積んだまま、厳しい日差しの中で数日から数週間、立ち往生している。

「アフガニスタンからの輸出品がすべてこの国境を通るため、国全体にとって大惨事となっている」と、アガ氏は語った。

 例年、この地からパキスタンやインド、ペルシャ湾岸諸国に計4万~5万トンのザクロが輸出されている。しかし、今年これまでに輸出されたのは4490トンにとどまっていると、カンダハルの商工会議所関係者は話す。「時間がたてばたつほど品質が落ち、売り上げが減る」

 タリバンの実権掌握以前から、アフガン国内の農業は干ばつや各地での激しい戦闘により大きな打撃を受けていた。

 生産者は長年にわたり、欧米の支援を受けていたアフガン政府や国際機関から、アヘンの原料となるケシの代わりにザクロなどの果物を栽培するよう奨励されていた。(c)AFP