【10月14日 AFP】英ロックバンド「ザ・ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)」は、代表曲の一つ「ブラウン・シュガー(Brown Sugar)」の奴隷に関する歌詞が批判されていることを受け、当面の間、北米ツアーで演奏しないと明らかにした。

 キース・リチャーズ(Keith Richards)は米紙ロサンゼルス・タイムズ(Los Angeles Times)のインタビューで、「ブラウン・シュガー」が演奏されていないことを指摘されると、「気付いたか?」と応じた。

「いったいどこに問題があるのか、理解しようとしている。この歌が奴隷制度の恐ろしさを歌ったものだと分かっていなかったのだろうか。でも、彼らはこの歌を葬り去ろうとしている。今は争いに巻き込まれたくない」と語り、いつか復活させたいと付け加えた。

 1971年に発表された「ブラウン・シュガー」は、「綿畑へと向かう黄金海岸(Gold Coast)の奴隷船」という歌詞で始まる。奴隷にされた人々が殴られたり、若い女性の奴隷が性行為の対象とされたりする様子を歌っている。

 音楽雑誌の批評家や業界関係者から近年「人種差別的」だとの批判が出ている。米誌ニューヨーク・マガジン(New York Magazine)には「吐き気を催すほど性差別的で、黒人女性に対して驚くほど攻撃的」とする記事が掲載された。

 フロントマンのミック・ジャガー(Mick Jagger)は、ロサンゼルス・タイムズに「1970年から毎晩『ブラウン・シュガー』を演奏してきたから、たまには外して様子を見てみようと思うこともある」と説明。「戻すこともあるかもしれない」とした上で、「スタジアムライブでの曲選びは、ちょっと難しいんだ」と話している。

 ジャガーは1995年、米誌ローリング・ストーン(Rolling Stone)に「今なら絶対にあの曲は書かない」と語り、「たぶん自己検閲して『ああ無理だ、もうやめよう』と思うだろう」などと述べていた。

 ザ・ローリング・ストーンズは、新型コロナウイルスの流行で中断していたツアー「ノーフィルター(No Filter)」を9月に再開し、11月までの日程で北米を回っている。(c)AFP