【10月12日 AFP】中国は12日、自国で開かれている国連(UN)の生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で、開発途上国の生物多様性保護のための新基金に15億元(約260億円)を拠出すると表明した。

 中国は近年、生物多様性の保全において、国際的に重要な役割を担うことを目指してきた。

 中国南部の昆明(Kunming)で、2部制で行われる動植物と生態系保護に関する同会議の1回目が開幕し、約195か国から代表が集った。

 COP15にオンラインで出席した中国の習近平(Xi Jinping)国家主席は演説の中で、「開発途上国の生物多様性保全活動を支援するために、中国は昆明生物多様性基金の設立を主導し、15億元を拠出する」と発表するとともに、全当事者に基金への協力を要請した。

 しかし一部の富裕国は、途上国の環境保全プロジェクトにはすでに国連の地球環境ファシリティ(GEF)が資金提供を行っているため、新たな基金は不要だとみている。

 中国の拠出額は、英国が世界規模の保全プロジェクトに今後5年間に拠出する予定の40億ドル(約4500億円)や、フランスが気候変動対策財源の30%を生物多様性保全に充てるとしている規模にははるかに及ばない。

 英国王立鳥類保護協会(RSPB)のジョージナ・チャンドラー(Georgina Chandler)氏は今回の中国の発表について「道の始まりであって、終わりではない」との見方を示し、「具体的な行動が提示されないなら、世界はまた実行義務のない目標に合意することになる」と指摘した。(c)AFP/Laure FILLON / Poornima WEERASEKARA