【10月12日 AFP】アフガニスタンを統治するイスラム主義組織タリバン(Taliban)は12日、カタール・ドーハで欧州連合(EU)および米国の代表団と会談した。タリバンは外交を通して、国際支援の取り付けを目指している。

 20年にわたる駐留を終えた米軍の撤退後、アフガンで再び権力を掌握したタリバンは国際社会に対し、政権としての正式な承認と、人道危機を回避するための支援を求めている。

 今回の対面での会談は、タリバンが長年政治事務所を置いてきたカタールが仲介した。

 EUのナビラ・マスラリ(Nabila Massrali)報道官は今回の会談について、希望者の自由な出国、人道支援へのアクセス、女性の人権尊重に加え、アフガンが「テロリスト」組織の温床になることを防ぐなど、「米国と欧州側が懸念事項を提起する機会になる」との見方を示した。

 一方で「これは専門家レベルでの非公式協議だ。『暫定政権』を承認するものではない」と明言した。

 アフガニスタンでは、国際援助が途絶え、食品価格は上昇。失業者が急増し、経済が切迫した状況にあるため、タリバンは支援を切望している。

 他国から政府として正式承認を受けていないタリバンは現在、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」のアフガン分派「イスラム国ホラサン州(IS-Khorasan)」の脅威にさらされている。同組織は攻撃を繰り返し、多数の死者が出ている。

 タリバンの暫定政権で外相を務めるアミール・カーン・ムタキ(Amir Khan Muttaqi)氏はカタールで行われた別の行事で「全世界と建設的な関係を築くことを望んでいる」と話し、「バランスの取れた国際関係の実現が可能だと信じている。そうしたバランスの取れた関係が、アフガニスタンを政情不安から救うことができると信じている」と述べた。

 同氏は9日にもタリバン代表として、米軍撤退後初となる米代表団との会談に臨んでいる。(c)AFP