【10月12日 AFP】米ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)、ラスベガス・レイダース(Las Vegas Raiders)のジョン・グルーデン(Jon Gruden)ヘッドコーチ(HC)は11日、過去に不適切な言葉を使用していた疑惑が次々に発覚したことを受けて辞任した。

 グルーデン氏は過去の電子メールで人種差別的な表現をしていたことが先日報じられ、また新たに女性蔑視や同性愛嫌悪の言葉を使用した疑惑が浮上したことで、すぐさまレイダースのマーク・デービス(Mark Davis)オーナーと面会して指揮官の座から退いた。

 グルーデン氏はチームの公式ウェブサイトに投稿された発表文で、「ラスベガス・レイダースのHCを辞任する」と表明し、「私はレイダースを愛しており、チームの邪魔者にはなりたくない…、申し訳ない。誰かを傷つけるつもりは決してなかった」とつづった。

 8日付の米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)では、グルーデン氏がNFL選手協会(NFLPA)の責任者であるデモーリス・スミス(DeMaurice Smith)氏について、過去の電子メールで人種差別的な表現を使っていたことが伝えられており、その騒動からわずか72時間での電撃辞任となった。

 記事によると、グルーデン氏はスミス氏について「ミシュラン(Michelin)タイヤのような大きさの唇」をしていると書いていたという。こうした表現は、黒人をやゆするイメージの典型として長らく使われていた。

 さらに、米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)はこの日、グルーデン氏が女性審判の誕生やゲイの選手がドラフトされたことを侮辱するかのように、女性蔑視や同性愛嫌悪の不適切な言葉を使っていたメールを複数確認したと報道。

 グルーデン氏が率いるレイダースには、6月に現役選手として初めてゲイであることを公表したDEカール・ナッシブ(Carl Nassib)がプレーしている。

 同紙によると、グルーデン氏は他のメールでも、米国歌演奏時に抗議行動をする選手たちを嘲笑し、解雇すべきだと主張していたという。また、脳振とうを減らすためのリーグの方針をめぐり、ロジャー・グッデル(Roger Goodell)コミッショナーに対しても同性愛嫌悪の言葉を使用して批判を繰り広げていたと伝えられている。(c)AFP