【10月11日 AFP】(更新)スウェーデン王立科学アカデミー(Royal Swedish Academy of Sciences)は11日、2021年のノーベル経済学賞(Nobel Prize in Economics)を、労働市場の分析で貢献したカナダ人のデービッド・カード(David Card)、イスラエル系米国人のヨシュア・アングリスト(Joshua Angrist)、オランダ系米国人のグイド・インベンス(Guido Imbens)の3氏に授与すると発表した。

 カード氏はカリフォルニア大学バークレー校(University of California, Berkeley)、アングリスト氏はマサチューセッツ工科大学(MIT)、インベンス氏はスタンフォード大学(Stanford University)と、ともに米国の大学の教授。 

 ノーベル賞委員会(Nobel Committee)は、3氏は「労働市場に関する新たな知見」をもたらし、「『自然実験』を通じて因果関係についてどのような結論が導き出せるか」を示したと、授賞理由を説明した。

 カード氏は1956年カナダ生まれ。最低賃金や移民、教育が労働市場にもたらす影響を研究してきた。「実証研究による労働経済学への貢献」が評価され、賞金1000万クローナ(約1億2900万円)の半分を受け取る。

 アングリスト氏とインベンス氏は、因果関係からいかに正確な結論が導き出せるかを立証。「因果関係の分析における方法論上の貢献」が評価された。賞金のもう半分を分け合う。

 ノーベル賞委員会のエバ・モーク(Eva Mork)氏は、3氏が「経済学における実証研究に革命を起こした。無作為化実験を行うことが不可能な場合でも、重要な問いに答えが出せることを証明した」と述べた。

 3氏はいずれも、「自然実験」と呼ばれる手法を用いた研究が評価された。モーク氏は「医学における臨床試験のように、偶発事象や政策転換の結果、集団への待遇の変化が生まれる」ことが示されたと説明した。(c)AFP