■研究者と「押し問答」して古代種子を入手

 サロン氏は2000年前のナツメヤシの種の栽培計画に取り組む前に、500年前のハスの花の種を発芽させた話を読んでいた。

 2004年、イスラエルのバルイラン大学(Bar-Ilan University)に連絡を取り、マサダの要塞跡で見つかり、同大学で保存しているナツメヤシの種を少し分けてほしいと頼んだ。

 バルイラン大学の植物考古学の研究者たちには「正気じゃない」と言われたが、めげることなく、古代の種子が発芽した例を示した。

「押し問答の末に」5個の種を入手。ヨルダン国境近くのキブツケトゥラ(Kibbutz Ketura)を拠点とするソロウェイ氏に話を持ち掛けた。

 ソロウェイ氏は当初、2000年前の種と聞いて、発芽は無理だと答えた。だが、「やってみて」とサロン氏に言われたと振り返る。

 最適な栽培方法を数か月間考えたソロウェイ氏は、化学肥料ではなく、酵素肥料を使用することにして、多くの種類の植物を栽培している自身の温室で、3個の種の発芽を試みた。しかし芽が出る気配はなく、数週間がたった。