■栽培過程で一つでもつまずけば、すべてがだめに

 ところが2005年3月のある日、一つの鉢の土の表面に小さなひび割れが入った。根が張り始めた証拠だ。

 鉢に植えた三つの種のうち、発芽したのは一つだけだった。愛称は、長寿で知られる旧約聖書の登場人物の名前「メスーゼラ(メトセラ、Methuselah)」になった。

 しかしメスーゼラは雄株で、実をつけなかった。

 栽培方法は間違っていないと分かり、サロン氏は、雌株を得るためさらに多くの種を求めた。

 そして昨年ようやく、「ハナ(ハンナ、Hannah)」と名付けた雌株が約100個の実をつけた。

 今年8月、さらに多くの収穫があり、実が800個なった。水分は少ないが、薄茶色でほんのりと蜂蜜のように甘い。

 9月になってハナの妹に当たる「ジュディス(ユディト、Judith)」が移植され、より多くの結実が期待されている。

 サロン氏は、デーツの収穫を安定させるには手間暇をかけ、「子ども」を扱うように世話をする必要があると説明する。

 デーツが育つプロセスは安定していない。うまくいくと「見事なデーツ」がなるが、「一つでもつまずけば、すべてがだめになってしまいます」と話した。(c)AFP/Claire Gounon