【10月10日 AFP】オーストリアのセバスティアン・クルツ(Sebastian Kurz)首相(35)は9日、辞意を表明した。民主的に選出された世界最年少の国家指導者として2017年に首相に就任したクルツ氏だが、汚職疑惑をめぐって辞任圧力が高まっていた。

 検察は6日、クルツ氏が党首を務める国民党(OeVP)の関連施設を家宅捜索。これを受け、野党だけでなく連立を組む緑の党(Greens)からも辞任を迫る声が上がった。首都ウィーンでは7日、国民党の本部前で大規模なデモがあり、「汚職反対」や「恥を知れ」と書かれたプラカードを掲げた人々がクルツ氏の辞任を要求した。

 検察によるとクルツ氏は、2016~18年にメディアに好意的な報道をさせるため政府資金が使用された疑いをめぐり、他9人と共に捜査対象となっている。クルツ氏は不法行為を否定しており、9日にも「虚偽」の疑惑であり、身の潔白を「証明できる。そう確信している」と述べていた。

 テレビ放映された辞意表明でクルツ氏は、「われわれには安定性が必要だ」と主張。「混乱を避ける余地をつくる」ため辞任すると説明した。(c)AFP/Julia ZAPPEI