【10月10日 AFP】台湾の蔡英文(Tsai Ing-wen)総統は10日、建国記念日に相当する「双十節」の記念式典で演説し、台湾は中国政府の圧力に屈することなく民主主義的な生活様式を守ると述べた。中国軍機による台湾の防空識別圏(ADIZ)への相次ぐ進入を受け、中台関係は緊張が高まっている。

 蔡氏は「われわれが成功すればするほど、中国からの圧力は大きくなる」と語った上で、「中国が敷いた道を進むよう台湾に強要することは、誰にもできない」と主張。台湾は「民主主義防衛の第一線に立っている」と述べ、中国との緊張緩和を望んでいるため「軽率な行動は取らない」としながらも、「台湾の人々が圧力に屈するという幻想は決して抱いてはならない」と強調した。

 中台関係は、ここ数十年で最も緊張が高まっている。中国の習近平(Xi Jinping)国家主席は、2016年の台湾総統選で蔡氏が圧勝した後、台湾との公的な交流を断ち、経済・外交・軍事の面で圧力を強めている。

 また、中国軍の戦闘機や核搭載可能な爆撃機が台湾の防空識別圏内を飛行する事例も大幅に増加し、新たな火種となっている。今月1日の国慶節(中国の建国記念日)前後に台湾の防空識別圏に進入した中国軍機は約150機に上る。

 習氏は9日、辛亥革命(Xinhai Revolution)110年記念大会の演説で、台湾との「平和的統一」は「きっと実現されるだろうし、実現できる」と発言した。(c)AFP