【10月9日 AFP】米テキサス州で施行された、人工妊娠中絶をほぼ全面的に禁止する新法について、同州の連邦地方裁判所は6日、施行を一時差し止める命令を出した。これを受け、州内の診療所は7日、妊娠6週目以降の女性への中絶手術を再開。同州政府は不服を申し立てる方針で、法廷闘争は連邦最高裁に持ち込まれる見通しだ。

 全米で2番目に人口の多いテキサス州は9月1日施行の新法で、妊娠6週目以降の中絶を禁止した。6週前後では妊娠に気づかない女性も多い。新法では性的暴行や近親相姦(そうかん)による妊娠も例外として認められていない。米司法省は、施行の差し止めを求め提訴していた。

 連邦地方裁のロバート・ピットマン(Robert Pitman)判事は、新法を「はなはだしい憲法違反」と批判し、施行の一時差し止めを命令。これを受け、州内4か所で中絶医院を経営するホール・ウーマンズ・ヘルス(Whole Woman's Health)はツイッター(Twitter)に、妊娠6週目以降の女性への中絶手術を再開したと投稿した。

 テキサス州のケン・パクストン(Ken Paxton)司法長官(共和党)は、ルイジアナ州ニューオーリンズ(New Orleans)の第5巡回控訴裁判所に今回の決定に対する不服を申し立てると表明した。同控訴裁は全米でも特に保守色の強い裁判所だが、その判断がどうであれ、訴訟は最終的に連邦最高裁に持ち込まれると予想される。連邦最高裁では判事9人のうち、保守派が6人を占めている。(c)AFP