【10月9日 AFP】ポーランドの憲法裁判所は7日、欧州連合(EU)法は国内法に優先しない場合があるとの判断を示した。専門家は、同国のEU離脱「ポレグジット(Polexit)」(英国のEU離脱「ブレグジット」のもじり)につながる可能性がある司法判断だと指摘。国内外から反発の声が相次いだことを受け、ポーランド政府は8日、EU残留の意向を明言した。

 EU司法裁判所は今年3月、ポーランドの右派政権が実施した司法改革について、EU法に違反すると判断。同国のマテウシュ・モラウィエツキ(Mateusz Morawiecki)首相はこれを受け、国内の憲法裁に対し、EU法の優位性について判断を求めていた。

 ポーランド憲法裁は、EU条約の一部条項が同国の憲法と「両立しない」と判断。さらに、EU機関は同国の司法改革に干渉することで「権限の範囲を超えて行動」するべきではないとけん制した。

 フランスのクレマン・ボーヌ(Clement Beaune)欧州問題担当相は、憲法裁の判断を「EUに対する攻撃」と批判。ドイツのハイコ・マース(Heiko Maas)外相は、ポーランドはEU法を「完全に」施行しなければならないと警告した。

 欧州委員会のウルズラ・フォンデアライエン(Ursula von der Leyen)委員長も「深く懸念」していると表明。前欧州理事会常任議長(EU大統領)で現在はポーランド野党党首のドナルド・トゥスク(Donald Tusk)氏は、首都ワルシャワで10日に「欧州のポーランドを守る」ための大規模な集会を開くよう人々に呼び掛けた。

 こうした中、モラウィエツキ首相は、「ポーランドの居場所は現在も、そしてこれからも、欧州の国々の家族の中にある」とフェイスブック(Facebook)に投稿し、EU残留の意向を明示した。

 ポーランドでは、EU加盟継続を支持する国民が80%以上と圧倒的多数に上る。EUは同国に巨額の補助金をもたらし、国の発展に貢献してきた。だが、ポピュリスト政党「法と正義(PiS)」が政権に就いて以降、EUとの関係は悪化を続けている。(c)AFP