【10月9日 AFP】ナチス・ドイツ(Nazi)の強制収容所で看守として働いていたヨーゼフ・シュッツ(Josef Schuetz)被告(100)が、被収容者数千人の殺害をほう助した罪に問われている裁判で、被告は8日、無罪を主張した。

 シュッツ被告は、ナチスによる大量虐殺に関与したとして起訴された人物としては最高齢。1942年から45年にかけ、ベルリン北郊オラニエンブルク(Oranienburg)にあったザクセンハウゼン(Sachsenhausen)強制収容所で被収容者3518人の殺害を「故意かつ自発的に」ほう助した罪に問われている。

 ザクセンハウゼン強制収容所は1936年から45年にかけ、ユダヤ人、ロマ人、反ナチ運動家、同性愛者ら20万人以上を収容した。ザクセンハウゼン追悼博物館(Sachsenhausen Memorial and Museum)によると、ソビエト軍により被収容者が解放されるまでに、数万人が強制労働、虐殺、人体実験、飢餓、病気により命を落とした。

 シュッツ被告は公判で、「私は無実だ」と宣言。当時、収容所で行われていたことについては何も知らず、自分は「何もしていない」と主張した。

 被告の発言に、共同原告となった人々は反発。原告の一人であるクリストッフェル・ハイエル(Christoffel Heijer)さん(84)は法廷で、被告を指さしながら「シュッツ氏に言いたいことがある。ナチスへの恐怖から仕事をやめられなかったのは理解できるが、これまでずっと安眠できたのはなぜか? 当時のことを考えたことはなかったのか? 罪の意識を感じたことは一度もないのか?」と問いただした。(c)AFP