【10月8日 AFP】ドイツで7日、ナチス・ドイツ(Nazi)時代の犯罪をめぐる裁判の被告としては最高齢となる100歳の元強制収容所看守に対する公判が始まった。だが弁護人は、被告が看守時代の出来事について証言する意向はないことを明らかにした。

 ヨーゼフ・シュッツ(Josef Schuetz)被告は1942年から45年にかけ、ベルリン北郊オラニエンブルク(Oranienburg)にあったザクセンハウゼン(Sachsenhausen)強制収容所で被収容者3518人の殺害を「故意かつ自発的に」ほう助した罪に問われている。しかし弁護人は公判で、被告が「陳述はせず、自身の個人的な状況についてのみ情報を提供する」と説明した。

 被告の証言拒否は、被害者やその遺族にとって打撃となった。父親を強制収容所で殺害されたアントワーヌ・グランバック(Antoine Grumbach)氏(79)は、被告には自分が「罪を犯した可能性」を認めさせたいとして、いらだちを表明。収容所の生存者や被害者遺族の代理人弁護士、トーマス・ワルター(Thomas Walther)氏は、被告が考えを変えて証言に応じることを期待していると語った。

 第2次世界大戦(World War II)の終結から70年以上が経過し、ドイツの検察当局は存命中のナチス関係者の訴追を急いでおり、近年では下級職に就いていた人々に焦点を移すようになった。

 先週には、強制収容所の秘書として1万人以上の殺害をほう助した罪に問われた96歳の女が、公判開始直前に逃亡を図ったものの、数時間後に拘束された。(c)AFP