【10月6日 AFP】インドで、石炭不足と新型コロナウイルス流行収束後の経済再開に伴う需要急増により、向こう数か月以内に電力不足が生じる可能性が高まっている。同国メディアが5日、ラージ・クマール・シン(Raj Kumar Singh)電力相の話として伝えた。

 中国と欧州も電力不足に直面しており、世界の供給網が混乱し、電気料金も高騰している。

 シン氏はインディアン・エクスプレス(Indian Express)のインタビューで、需要は涼しくなる10月後半から通常下がり始めるが、今年は「きわどい状況」にあると説明。電力需要は「驚異的」だと述べた。

「消費者が2820万人増えた。その大半が下位中間層や貧困層で、扇風機や照明、テレビなどを購入している」

 国内の石炭火力発電所の石炭在庫は9月末時点で平均4日分しかなく、近年で最低水準となっている。

 半数以上の石炭火力発電所で供給停止の恐れがあり、政府は現在使われていない発電所の再稼働も検討している。

 インドの電源構成の70%近くを石炭が占めている。原料の石炭の約4分の3は国内で採掘されている。

 国内向け石炭の大半を生産する国営インド石炭公社(CIL)は、供給を確保するため「戦時体制」を敷いているとしている。

 アジア第3位の経済規模のインドでは、新型コロナウイルス流行後の経済再開により電力需要が急増している。また、先のモンスーンによる大雨で鉱山が浸水し、石炭輸送が中断されたため、石炭価格は高騰した。

 石炭価格は国際的に高騰しており、輸入も難しい状況だ。(c)AFP