【10月5日 CNS】中国では中秋節(旧暦の8月15日、今年は9月21日)の連休期間(9月19~21日)、多くの市民が都心から郊外へ出かけ、ピクニックやキャンプ、宿泊をして自然との触れあいを楽しんだ。

 北京市平谷区(Pinggu)にある農家風の民宿は連休の1か月前から予約がいっぱいとなった。「家族連れや若者たちが、山での生活を体験してリラックスしています」とオーナーの徐占軍(Xu Zhanjun)さん。2020年より前の客室稼働率は約70%だったが、昨年のコロナ禍から稼働率は90%に達し、特に祝日には超満員だという。

 近年、中国では新しい中産階層が台頭し、キャンプや収穫体験などが人気のレジャーとなっている。かつて日本で広がったアウトドアブームのように、都会で働く中産階層が田舎の生活に憧れるようになり、畑を借りて農作業を楽しむ人も。都会の暮らしや日常の仕事から来るストレスを発散する方法となっている。

「主要都市における中産階層の家庭の休日行動リポート2021」によると、「次々と移動して観光する」スタイルから、「一つの場所にとどまり、自然を眺める」という余暇の過ごし方が広がりつつある。統計データによると、郊外レジャーを楽しむのは40歳前後が中心で、月に1回は郊外で体を休める家族が多い。

 南京大学(Nanjing University)現代中国研究所の周暁虹(Zhou Xiaohong)所長は「新しい中産階層には著しい文化的特質がある」と指摘する。改革開放政策が始まった1978年以降に生まれ、年齢は25歳から40歳に集中し、教育水準が高いという特徴を持つ。消費面では日用品を多く購入する必需型消費から発展型、ライフスタイル型消費にシフトしている。

 国民全体の経済力を底上げする「共同富裕」を目指す中国政府は、低所得者層の収入拡大と中所得層の割合拡大を促進。中所得層の割合が大きく、高所得層と低所得層が少ない「オリーブ型」の所得構造を形成しようとしている。世界銀行の基準によると、これから中国は4億人が中所得層に入る。新しい中産階層の消費行動は、市場に大きな可能性をもたらす。(c)CNS/JCM/AFPBB News