【10月2日 AFP】スコティッシュ・プレミアシップの王者グラスゴー・レンジャーズ(Glasgow Rangers)は、先月30日に行われたヨーロッパリーグ(UEFA Europa League 2021-22)のスパルタ・プラハ(Sparta Prague)戦で、MFグレン・カマラ(Glen Kamara)が相手ファンから暴言を浴びた件について、欧州サッカー連盟(UEFA)に通報した。スティーブン・ジェラード(Steven Gerrard)監督が1日、明かした。

 フィンランド代表のカマラは、この日と同じチェコ・プラハで行われた昨シーズンのスラビア・プラハ(Slavia Prague)戦で相手DFのオンドジェイ・クーデラ(Ondrej Kudela)から人種差別的な発言を受けていた。

 その後、スラビアと同じくプラハを拠点にするスパルタでは、8月に行われたASモナコ(AS Monaco)とのホームゲームで対戦相手のオーレリアン・チュアメニ(Aurelien Tchouameni)が人種差別を受ける出来事があり、当初今回のレンジャーズ戦は本拠地レトナ・スタジアム(Letna Stadium)を閉鎖して行う予定だった。

 その後、UEFAは主に保護者同伴の学童ら約1万人の観客を受け入れることで折れたが、30日の試合ではカマラがボールを持つたびにブーイングが起こっていた。

 ジェラード監督は、「何十万人、あるいはそれ以上の人々が失望し、怒りを覚えている。なぜなら、こういうことが頻発しているのに、残念ながら処罰は不十分だからだ」と主張し、UEFAや他の統括団体に対して人種差別により厳しい措置を取るべきだと呼び掛けた。

「もっと厳しい行動に出る必要があり、人種差別を根絶するにはそれしかないと昨夜も話した。なぜなら、これまでの処罰は十分に厳格なものとは程遠いからだ」

 カマラの代理人も、「プラハは深刻な人種差別の問題を抱えているのに、UEFAはいつも通り素知らぬ顔をしている」とのコメント文を発表。これに対してスパルタは、カマラの代理人の発言は「危険」と反発している。

 また、この問題は外交関係にも影響を及ぼす様相を見せている。

 チェコのヤクブ・クルハーネク(Jakub Kulhanek)外相は1日、プラハに英国大使を召喚する意向を示し、「もう十分だ! メディアやインターネットで、チェコの子どもたちに対して非常に不愉快な侮辱が意図的に繰り広げられている。そのようなことはサッカー界はもちろん、ましてや良好な関係にある両国の間において絶対に許してはならない」とツイートした。

 スパルタもレンジャーズに対して、「われわれの子どもたち、美しい国、そして国民が外国人嫌いだというムードをやめる」手助けをするように要求した。(c)AFP