【10月1日 東方新報】中国の若者の間で「朋克養生」という言葉が浸透している。直訳すると「パンク養生」、意訳すると「パンクロック式健康法」となる。「肌の手入れをしながら徹夜する」「コーラに漢方薬を入れて飲む」などのように、「体を酷使しながら、いたわる」という真逆の行為を並行させるライフスタイルだ。

 北京市の25歳の女性会社員、張さんは「パンク式健康法」を地で行く生活を送る。仕事で残業をした後、友人と待ち合わせて午後7時すぎから繁華街へ繰り出す。胃腸薬を飲みながら激辛の火鍋をたいらげ、ビールにクコの実を入れてグビグビ飲み干す。その後、クラブへ行って夜明け近くまで踊ってタクシーで帰宅。自宅では、高級スキンケア用品できっちり肌の手入れをするのは忘れない。数時間眠りにつき、また会社へ向かう。北京はこれから寒くなる時期だが、冬になってもカイロを貼って穴あきジーンズをはく。

「パンク」という言葉を使うのは、パンクロックの激しい音楽やファッションのイメージから「常識を打ち破り、意識や行動を解放する」という意味合いがある。夜遊びや暴飲暴食をいとわず限界まで体を酷使し、シンプルな方法で埋め合わせをするのが「健康法」という。1980年代にバブル経済を謳歌(おうか)した日本の若者が、健康ドリンクをビタミン剤と一緒にイッキ飲みしてディスコに繰り出したようなスタイルに近いかもしれない。

 中国ではヘルスケア市場が急速に発達している。「足湯」「灸(きゅう)」「中医薬」というと高齢者向けのイメージがあるが、インターネット上では1995年生まれ以降の若者の購入割合が増えている。最近は「1粒で1日分のビタミンを補充できる」とうたうサプリなど、シンプルで即効性があるとPRする健康食品も目立っている。パンク式健康法の若者をターゲットにしているが、専門家は「健康食品に過度に依存してはいけない」と警鐘を鳴らしている。

 中国版グーグルともいわれる検索エンジンサイト「百度(Baidu)」で午前3時に最も多い検索ワードは「健康を維持する方法は何か」だというジョークのようなデータもある。検索トップ10には「夜更かしの危険性」「使えるスキンケア製品は?」などもあり、リスクを楽しみながらパンク式健康法にいそしんでいる若者の姿が浮かんでいる。(c)東方新報/AFPBB News