【10月10日 AFP】400年前に建造されたインド西部ラジャスタン(Rajasthan)州の城塞(じょうさい)に登り自撮りをしていたファイズディンさん(21)一行は雷の直撃を受け、友人3人が亡くなった。インドでは、気候変動の影響で落雷による死亡事故はまれなことではなくなっている。

 ファイズディンさんは「次から次へと、雷に3回打たれた」と、州都ジャイプール(Jaipur)の自宅でAFPに語った。

 ファイズディンさんと幼なじみ3人は7月、嵐の中、アンベール城(Amer Fort)の要塞(ようさい)の見張り塔に登っていた。この時の落雷により他に8人が亡くなっている。

「耳をつんざくほどの音がして、大爆発が起きたようだった。ズボンと靴に火が付き、手足がこわばり、動けなくなった」と話した。今でも頭に長く深い傷痕が残っている。

 インド政府の統計によると、毎年約2500人が落雷で死亡している。

 牛などの動物が犠牲となることもある。北東部アッサム(Assam)州では5月、落雷によりゾウ18頭が死んだ。

■前年比3割増

 落雷の頻度は増している。今年3月までの1年間の発生件数は前年比3割増の1900万回近くに上った。

 雷に関するデータを集計している数少ない団体「ライトニング・レジリエント・インド・キャンペーン(Lightning Resilient India Campaign)」のサンジャイ・スリバスタバ(Sanjay Srivastava)氏は、「気候変動と地表面の局地的な気温上昇、湿度の上昇により雷が急増している」と、AFPに述べた。

 落雷の増加は世界的に問題となっている。今年公表された研究結果では、北極圏の平均落雷件数が今世紀中に倍増すると予測されている。

 落雷によってツンドラ地帯で広範囲にわたる火災が引き起こされる結果、永久凍土に閉じ込められている大量の炭素が大気中に放出され、地球温暖化が加速する可能性がある。

 都市部でも落雷が増えていることを示す証拠もあり、今後数年で都市部の人口が急増すると予測されているインドでは、特に懸念されている。