【10月2日 AFP】全米で初めて、医療従事者に対する新型コロナウイルスワクチンの接種を義務付けたニューヨーク州で、病院職員の接種完了率が9月29日時点で87%に達した。

 同州はワクチン接種を推進するため、公立・私立病院合わせて52万人いる医療従事者を対象に、9月27日までに接種しなかった場合、停職または解雇の可能性もあるとしていた。この決定をめぐっては、複数の訴訟も起きていた。

 セクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)の告発を受けて8月に州知事を辞任したアンドルー・クオモ(Andrew Cuomo)氏の後を引き継いだキャシー・ホークル(Kathy Hochul)氏は、ワクチン未接種の医療従事者の代わりに州兵を動員すると発言。病院の混乱も懸念された。

 だが、期限の9月27日時点で閉鎖された病院はなかった。さらに、ホークル氏によると、29日時点で病院職員のワクチン接種完了率は87%に達した。

 また、高齢者施設で少なくとも1回目のワクチン接種を完了した職員は、8月24日の71%から、9月27日には92%にまで増加した。

 ホークル氏は「医療従事者へのワクチン接種義務化を断行することは、リスクの高い家族や大切な人を新型コロナから守る、まさに正しい行為だ」と強調した。

■接種するかはあなた次第

 人口約2000万のニューヨーク州の、昨年3月以降の新型コロナウイルスによる死者は5万6000人で、うち3万4000人をニューヨーク市が占める。

 同市の公共病院ネットワーク「NYCヘルス+ホスピタルズ(NYC Health + Hospitals)」のミッチェル・カッツ(Mitchell Katz)最高経営責任者(CEO)によると、29日時点で、傘下の病院職員4万3000人のうちワクチン未接種者は3000人となっている。

「ワクチンを接種していない看護師や退職を選択した看護師の穴を埋めるために約500人の看護師を配置した。誰も解雇していない」と、同CEOは述べた。

 だが、状況は病院によって異なる。

 北部バファロー(Buffalo)にあるエリー郡医療センター(Erie County Medical Center)はAFPに対し、職員3303人の約5%に当たる167人が無給の停職処分を受けたと明らかにした。このため、緊急性の低い手術や診療時間の変更を余儀なくされたという。

 医療従事者へのワクチン接種義務化は、ニューヨーク市で10月1日から始まった教師へのワクチン接種義務化の試金石にもなっている。

 ビル・デブラシオ(Bill de Blasio)ニューヨーク市長はツイッター(Twitter)で、「それまでに1回目の接種を済ませるか、翌週の月曜日に仕事に戻らないかどうかは皆さん次第だ」と教師に呼び掛けていた。(c)AFP/Andrea BAMBINO