【10月2日 AFP】ベトナムで導入された長期間に及ぶ新型コロナウイルス対策の厳格なロックダウン(都市封鎖)により、米スポーツ用品大手ナイキ(Nike)や米アパレル大手ギャップ(Gap)など、ベトナムに依存してきた世界的アパレルブランドの生産に影響が出ている。

 ベトナム工場での混乱は世界経済の回復にも影を落としている。

 首都ハノイの東にある繊維メーカー「フンイエン・ニット・アンド・ダイイング(Hung Yen Knitting & Dyeing)」の工場は、アパレル大手サプライチェーン(部品供給網)の要となっている。同社の生地はナイキやアディダス(Adidas)、ギャップといったアパレルブランドの水着やスポーツウエアに使用されている。

 イタリア人幹部クラウディア・アンセルミ(Claudia Anselmi)氏は、日々操業できるかどうか気が気でないと話す。

 ベトナムが新型コロナウイルス流行の第4波に見舞われた今春、同社の生産量は半減し、今なお合成繊維の生産に必要な材料の確保に苦労している。

「最初は(外出制限で)みんな家から出られなかったので人手不足に陥った」とアンセルミ氏は話した。今は移動制限により入荷から出荷までの全物流が危機にあるという。

 地区を分断する形で設置された検問所や複雑な移動規制に、トラック運転手も物流会社も振り回されてきた。

 フランスの物流企業「FMロジスティック(FM Logistic)」の現地法人責任者、ハムザ・ハルティ氏(Hamza Harti)によると、カントー(Can Tho)市に入るために車内で3日3晩待たされた運転手もいる。

 外資系企業は近年、中国から東南アジアに軸足を移しており、この動きは米中間の激しい貿易戦争により加速した。そうした企業にとり、物流の遅延や制限は大きな頭痛の種となっている。

 国営メディアによるとベトナム縫製協会(Vitas)は8月、新型コロナウイルスの感染が拡大した南部では、アパレル部門のサプライチェーンの最大90%が影響を受けたと発表した。