【9月30日 AFP】ミャンマー軍の弾圧を逃れたイスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)が暮らすバングラデシュ・コックスバザール(Cox's Bazar)の難民キャンプで29日、難民自治組織の有力な指導者の男性が射殺された。

 警察によると、モヒブ・ウラー(Mohib Ullah)氏(48)は29日午後8時(日本時間同11時)ごろ、夜の礼拝を終え、自分の事務所前で他の指導者らと話していた際に正体不明の4、5人の集団に襲われ、至近距離から撃たれた。その後、キャンプ内にある国際医療援助団体「国境なき医師団(MSF)」の医療施設で死亡が確認された。

 バングラデシュ警察と国内34か所のロヒンギャ難民キャンプで警備に当たる武装警官部隊は、数百人を追加配備して警備態勢を強化しているという。

 容疑者は逮捕されておらず、犯行声明も出ていない。

 難民指導者の一人はAFPの取材に対し、近年ミャンマー治安部隊の拠点への襲撃を繰り返している武装組織「アラカン・ロヒンギャ救世軍(ARSA)」による犯行だとの見方を示した。

 ウラー氏は、2017年8月にミャンマー西部ラカイン(Rakhine)州のロヒンギャの村が軍の弾圧を受け、74万人以上がバングラデシュに逃れる中で、難民たちの指導者として頭角を現した。2019年には渡米し、当時のドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の主導で米国務省が主催した信教の自由に関する会議に出席した。(c)AFP