世界が取り組む地球温暖化防止で大きな期待が寄せられている、CO2をまったく排出しない電気自動車(以下EV)。日本政府も国際公約に掲げる「カーボンニュートラル(2050年までにCO2ネット排出量ゼロ)」実現のためにも、EVの普及は欠かせない。

さらにEVには、環境ばかりではない社会貢献の可能性にも注目が集まっている。
日産自動車は、世界に先駆けてEVの量産化を成功させたEVリーディングカンパニーだ。
「EVは、環境問題だけではなく様々な社会課題解決の可能性を持っています。我々はその可能性に挑むと同時に、クルマ本来の魅力である“走り”にこだわったモノづくりをしています」
そう語るのは、日本マーケティング本部 チーフマーケティングマネージャーの柳信秀氏。自社のEV開発の現状と未来について、熱く語ってもらった。

 

 

EVの本当の魅力とは?

 

―世界初の量産EV「日産リーフ」が登場したのは2010年。あれから11年、世界のEVの現状はどうなっているのでしょうか。

数字でみると世界でのEVの市場シェアは約3%、 欧州では約8%に対して、日本国内でのEVはまだ1%。ある調査ではEVを魅力的だと感じている人も30%程度と、まだまだ発展途上というのが現実です。しかし、地球環境への意識の高まりによってEVの価値に関心が集まってきていますから、今後、日本におけるEV販売のスピードも加速していくことを大いに期待しております。正直、私たちの取り組みは早すぎたという見方もあるかもしれませんが、ある意味、ようやく時代のほうが私たちに付いてきてくれたと信じて、取り組みを進めています。実際、EV普及への機運の高まりは販売現場でも肌で感じられますし、非常に多くのお問い合せをいただいています。これからの10年、20年で状況は大きく変わっていくと思います。
そうした中で、先駆者としてのアドバンテージを存分に活かし、私たちだけが蓄積してきた多くの技術、経験でEV市場全体をリードしていきたいと考えています。

 

―この11年で、EVはクルマとしてどういった進化を遂げたのでしょうか?

安心・安全面はもともと優れており、それは現在も変わらず、様々な安全装備でより一層進化しています。
一方で、EVにはガソリン車と比較して航続距離、価格、充電環境という3つの課題がありました。
まず航続距離は、大容量バッテリーをはじめとする多くの技術開発によって、大きく改善されています※。
価格も、すでに同クラスのハイブリッド車等と比べて割高感は少なくなってきており、もともとEVは部品点数が少ないので、最もコストのかかるバッテリーのコストダウンを図ればさらに手の届きやすいものになっていくと思います。
そして充電設備に関しても、日産販売店の充電環境の整備に積極的に取り組んでいますし、今年6月、政府がカーボンニュートラルに併せて「2030年までに充電スタンドを今の5倍にあたる15万基に増やす」という目標を掲げたこともあり、ますます充実していくと思います。
さらに、何よりぜひ知っていただきたいのが、EVのクルマ本来の魅力、楽しさである「走り」の性能です。
そもそも「日産リーフ」は、開発段階からスポーティーな走りで気持ち良く運転を楽しんでいただけるクルマを目指してきました。つまり、環境面だけではなく、「走り」も追及しているのです。お乗りいただければ、アクセルを踏んだ瞬間のレスポンスの良さ、クイックでダイナミックな加速のすばらしさを、まさに「これはすごい」と体感していただけると思います。加えて、ステアリングを切った際に、なめらかかつレスポンスよくクルマが反応する点も是非ご体感いただきたいです。これらはEVだからこその乗り味でもありますし、日産がGT-Rなど数々のクルマを生み出してきた中で培った乗り味づくりのノウハウが活きています。
そして、「日産リーフ」の進化形ともいえるSUVタイプのEV「日産アリア(ARIYA)」が、いよいよ近日発売されます。これは、EV専用のプラットフォームに刷新し、ゼロから新開発した「日産EVの現時点での集大成」だと思っています。さらなるバッテリーの大容量化にも成功し、航続距離も最長で610Kmを実現しました。現在実施中の特別試乗会では、既にリーフにお乗り頂いているお客様はもちろんのこと、高級輸入車などにお乗りでクルマに強いこだわりをお持ちのお客様からも非常に高い評価を頂いております。

 

「クルマを超えた役割」への期待

 

―EVにはもうひとつ、“環境面や社会貢献”という面でも大きな期待が寄せられています。EVにできてガソリン車ではできないことの大きなポイントはどこにあるのでしょうか?

大きく3つあると思います。
1つは、エネルギーマネジメント。これは、EVに充電した電気を、必要な時に、必要な場所で電力として供給する、という仕組み。「ニッサンエナジーシェア」と呼んでいるものです。実際、「日産リーフ」をご愛用くださっているお客さまの中でも、太陽光発電などの再生可能エネルギーで充電し、それを家庭の電力としても活用する、という方々も増えてきており、未来のためだけのものではなく、すでに今の生活にも活かせるものなのです。  
 


2つめは、過疎地域でのガソリンスタンドの減少対策です。
ガソリン需要の減少で、国内のガソリンスタンド数はピーク時の半分程度にまで減少してしまっています。公共交通機関が未発達の地方を中心に、移動手段としてクルマが欠かせない人々には深刻な問題です。
そうしたなか、高齢化、過疎化が進み、公共交通機関が12年前に廃止されてしまったうえ、地域唯一のガソリンスタンドも週3日のみの限定営業となっていた福島県いわき市の中山間部にある田人地区において、弊社が市と地域住民の方々にご協力し、EVを活用した市民ボランティア輸送に取り組ませていただきました。こうした事例は、今後の課題解決のモデルケースとして期待されています。このように、EVは公共インフラ対策としても活躍の機会が期待できると思います。
そして3つめが、災害時の非常電源としての活用です。
EVのバッテリーは、ただ走ることに使うだけでなく、大容量の蓄電池として、ご自宅や外での電力供給源としても活用できます。たとえば災害時、電力の供給がストップした際の非常電源にもなる。自然災害のリスクが高い日本において、いざという時の蓄電池としての活用は、今後ますます重要性の増す社会的な役割の1つと考えています。

 

未来のための“ギガファクトリー”

 

―日産自動車が取り組んでいる「ブルー・スイッチ」は、まさにそうした課題解決に繋がるものですね。これからの取り組みをお聞かせ下さい。

取り組むべき課題はまだまだ沢山あります。クルマとしてもさらに進化させなくてはなりませんが、環境面でいうと、まず「ライフサイクルアセスメント」(以下LCA)の視点で取り組んでいく必要があると思います。
単に走行時にCO2を排出しないとうことだけではなく、クルマを生産し、ご利用いただき、廃棄するまでのすべての過程を踏まえた環境対策をしていくことがSDGsの観点でもとても重要です。EVは、確かに走行時にはCO2を排出しませんが、製造時には、主としてバッテリーが、大量の電力を必要とするため、生産現場でのCO2排出量はまだ大きな課題です。こうした課題解決に向け、弊社では、2050年までにLCA全体でのカーボンニュートラルを目指しています。
その具体的行動の1つとして、今年7月、カーボンニュートラルを目指した新たな電気自動車生産体制の計画を発表しました。生産工場でも再生可能エネルギーを活用し、さらに工場敷地内に設けた再生可能エネルギー発電施設を拡張し、製造時まで含めたLCA全体でのカーボンニュートラルを目指した取り組みを、すでに具体的に進めています。
もちろん、“今”も大切ですが、SDGsの観点からは、私たちの子ども、孫の社会をより住みやすいものにしていかなくてはいけません。今の若い世代の方たちは、社会貢献や環境問題にとても高い意識を持たれています。そうした世代の未来をより明るいものにするための1つのアクションとして、EVを選んでいただき、満足いただけるよう、日産はEVの先駆者として、より一層魅力的な商品とサービスを提供し続けていくべきだと強く思っております。

※62kWhバッテリーを搭載している「日産リーフ」の最新モデルでは、「WLTCモード」で458Km、「JC08モード」では570Kmを実現。「WLTCモード」とは、「市街地」「郊外」「高速道路」の各走行モードを平均的な使用時間配分で構成した国際的な走行モード。市街地モードは、信号や渋滞等の影響を受ける比較的低速な走行を想定し、郊外モードは、信号や渋滞等の影響をあまり受けない走行を想定、高速道路モードは、高速道路等での走行を想定しています。

 

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