■働き、学ぶ希望

 性的少数者を支援する団体「ボンデュ(Bondhu)」の事務局長、シェール・アーメド(Shale Ahmed)さんは、こうした企業は「数年前には想像もできませんでした」と言う。

 その考えを覆した一人がアポン・アクテル(Apon Akhter)さん(32)だ。ダッカの衣料品工場でアクテルさんが雇っているのはトランスジェンダーの人々だけだ。

 アクテルさんは、従業員25人の給料は決して高くはないが、みんな勉強を続けていると語る。何かを学ぼうとするトランスジェンダーの人々に立ちはだかっていた壁も打ち破っているのだ。

 支援団体「トランスエンド(TransEnd)」のラフィド・ショーミック(Rafid Saumik)さんは「いったん家を出てしまうと、教育を受けられません。学歴がなければ、どんな企業も高賃金の仕事には雇わないのです」と述べた。

 アクテルさんによると従業員の多くは工場にたどり着くまでに何年も苦難に耐え、辛うじて生き延びてきた。

「人生の中で求めてきた光を見つけてほしいと強く願います」とアクテルさん。「私たちは、支え合うしかないのです」

 映像は6月に取材したもの。(c)AFP/Shafiqul ALAM