【9月30日 AFP】米魚類野生生物局(FWS)は29日、「Lord God Bird(神の鳥)」の愛称で知られる世界最大級のキツツキを含む23種の絶滅を発表した。

 FWSは、政府の研究者が発見を断念したことから、鳥類、イガイ、魚類、植物、オオコウモリ計23種を、「絶滅の危機にひんする種の保存に関する法律(Endangered Species Act)」(種の保存法)の対象から外すことを提案した。

 この中でおそらく最も有名なのは、世界最大級のキツツキで、鮮やかな白黒の羽毛ととがった羽冠、レモンイエローの目を特徴とするハシジロキツツキだ。

 この数十年間、米国南東部で何度か未確認の目撃情報があるが、1940年代を最後に生息を示す確かな証拠が確認されておらず、野鳥の観察者にとっては何としてでも見つけ出したい聖杯のような存在になっている。

 ハシジロキツツキは「Lord God Bird」と呼ばれているが、米コーネル大学鳥類学研究所(Cornell University Lab of Ornithology)の名誉所長、ジョン・フィッツパトリック(John Fitzpatrick)氏によれば、これは「Lord God, what a bird(神よ、何たる鳥だ)」という表現から生まれたとされている。

 フィッツパトリック氏はAFPに対し、「ハシジロキツツキを絶滅寸前まで追い込んだ根本的な原因は南東部の原生林の消失だ。これは南北戦争(American Civil War)後に始まった」と指摘した。

 同氏は、他の鳥類の絶滅に関する政府の決定には同意するものの、ハシジロキツツキにはまだ希望があると思うとして、「10年に1回は他国から信ぴょう性の高い報告があり、1980年代にはキューバからハシジロキツツキがまだ生息しているという報告があった」と話した。

 デブ・ハーランド(Deb Haaland)内務長官は、「気候変動と自然地域の消失によって多くの種が危機にひんしている今こそ、米国の野生生物を救うために、積極的に協調的かつ革新的な取り組みに力を入れるべきだ」と述べた。

 米生物多様性センター(Center for Biological Diversity)の上席研究員ティエラ・カリー(Tiera Curry)氏は、ジョー・バイデン(Joe Biden)政権が絶滅危惧種の保護に6000万ドル(約67億円)の予算増額を要求したことを評価する一方で、FWSの局長ポストがいまだ不在であることを批判。「絶滅は避けられないものではない。政治的な選択だ」と述べた。(c)AFP/Issam AHMED