【9月30日 Xinhua News】中国河南省(Henan)文物考古研究院は27日、同省平頂山市(Pingdingshan)魯山県(Lushan)の仙人洞遺跡で、3万2千年前の現生人類の頭蓋骨化石を発見したと発表した。現代中国人の起源や進化を研究する上で重要な意義を持つという。

 仙人洞遺跡は同県観音寺郷にあり、標高は576メートル。2020年6月に魯山地区で実施された旧石器時代の考古学調査で、洞穴内から人類や動物の化石、石器などが見つかった。同研究院が平頂山市文物局、魯山県文物保護管理所と共同で2020年から21年にかけ発掘調査を行った。

 同研究院平頂山旧石器考古学調査プロジェクト責任者の趙清坡(Zhao Qingbo)氏は「仙人洞は大小二つの洞穴に分かれている。大きい方の1号洞は長さ9メートル、幅3メートル、高さ3・9メートルで、洞穴内の面積は約30平方メートルだった」と説明。「周辺で見つかった40カ所の洞穴と比較すると豪邸並みの広さで、10人前後が住むことができた」と語った。

 仙人洞遺跡では、これまでに人類の歯と頭蓋骨の破片が出土したほか、動物の骨の破片も1万個余り見つかっている。現在の同定標本数(NISP)はプシバルスキーガゼル、ウマ、ヒツジ、ヒグマ、シカ、イノシシ、オオカミ、一部の齧歯(げっし)類の小型哺乳動物など287点で、約3~4万年前のものだという。洞穴では中国北方様式に属する石片や刮削器、破片などの石器14点も発見されている。

 ウラン系列年代測定法により、仙人洞遺跡出土の人類頭蓋骨の破片2点の上限年代はそれぞれ3万2千年前、1万2千年前と判明した。その後の古人類学者の鑑定では、3万2千年前の破片が前頭骨であり、厚さも現代人の変異の範囲内にあることが分かった。

 仙人洞遺跡プロジェクト責任者を務める同研究院の劉海旺(Liu Haiwang)院長によると、3~5万年前は現生人類の拡散と行動が出現し、発展した重要な段階にあたるが、同時期の古人類化石の遺跡は極めて少ないという。劉氏は「これまでの研究で、当時の中原(黄河中下流域)地区に繁栄した旧石器文化が存在していたことが分かっており、文化的にも中国の旧石器文化の連続した発展が証明されているが、最も直接的な人類化石の証拠が欠けていた。仙人洞遺跡での頭蓋骨化石の発見は、同時期の中原地区における人類の進化の空白を埋め、現代中国人の起源や進化を研究する上で重要な意義を持つ」と語った。(c)Xinhua News/AFPBB News