【9月29日 AFP】米電気自動車(EV)大手テスラ(Tesla)のイーロン・マスク(Elon Musk)最高経営責任者(CEO)は28日、米規制当局は暗号資産(仮想通貨)に狙いを定めるのをやめ、自由に「飛ばせてやってほしい」との考えを示した。

 マスク氏は、カリフォルニア州ビバリーヒルズ(Beverly Hills)で行われたIT会議「コード・カンファレンス(Code Conference)」に参加。暗号資産は国家の通貨主権を脅かすと各国政府が懸念していることを念頭に私見を語った。

 ジャーナリストのカラ・スウィッシャー(Kara Swisher)氏に米規制当局は暗号資産に関して何をすべきと思うかと問われると、マスク氏は「何もしないでいい」と答えた。「あえて言うなら、ただ飛ばせてやってほしい」

 同会議ではマスク氏の発言の前に、米証券取引委員会(SEC)のゲーリー・ゲンスラー(Gary Gensler)委員長が、暗号資産を有価証券と見なし、取引プラットフォームを有価証券の取引等の規制対象とする可能性に言及していた。

 中国人民銀行(People's Bank of China、中央銀行)は先週、暗号資産が関わる金融取引は違法であり、全面的に禁止すると発表した。

 これについて問われたマスク氏は「彼ら(中国政府)は暗号資産を愛していないようだ。かすかだが、そうほのめかしている」と述べた。「暗号資産は基本的に中央集権国家の権力を弱めることを目的としている。彼らはそれが好ましくない」

 また、暗号資産の採掘(マイニング)には大量の電力を消費するため、中国は電力不足についても懸念している可能性があると指摘した。

 マスク氏は「自分がとてつもない暗号資産の専門家だとは言わない」と前置きした上で、「暗号資産には何らかの価値があると思う。一部の人が考えているような、救世主の再来のようなものだとは思わないが」と述べた。(c)AFP